作家・ほしおさなえのサイトです。
1964年東京都生まれ。
1995年「影をめくるとき」が群像新人文学賞小説部門優秀作に。
明治から昭和にかけて近代化のなかで繁栄し、技術の進歩によって衰退していったさまざまな事物に関心を持ち、小説の形にしています。
それは地位の高い人々のために発達した伝統工芸とも、美学をともなう「民藝」とも異なります。
わたしたちの暮らしのなかにあたりまえにあったもの、いつのまにかほかに置き換えられ、消えていこうとしているもの。
忘れ去られる前に、そうしたものたちが本来の魅力によってよみがえっていく様を描くことができたら、と思っています。
活版印刷を題材にした「活版印刷三日月堂」(ポプラ文庫)、古民家と養蚕の世界を描く「菓子屋横丁月光荘」(ハルキ文庫)、和紙のあたらしいあり方をめぐる「紙屋ふじさき記念館」(角川文庫)、現代連句の世界を取り上げた「言葉の園のお菓子番」(だいわ文庫)といった文庫シリーズを手掛けています。
ほか、『金継ぎの家 あたたかなしずくたち』(幻冬舎文庫)、『三ノ池植物園標本室(上・下)』(ちくま文庫)、『東京のぼる坂くだる坂』(筑摩書房)、児童書「ものだま探偵団」シリーズ(徳間書店)など。
フェリス女学院大学日本語日本文学科非常勤講師。
オンライン文芸コミュニティ「星々」運営。
また自主企画として、活版印刷や和紙を使った本やグッズを制作し、販売しています。
『一四〇字小説集 言葉の窓』の通販がはじまりました。
『言葉の窓』は、10年間Twitterで発表してきた140字小説806編から120編を選んでまとめた作品集です。
表紙・本文のすべてを活字組版で印刷、本文は機械抄き和紙を使用し、特装版の表紙は手漉き和紙を用い、1冊ずつ人の手で製本しています。
通販は下記オンラインショップから。
よろしくお願いします!
1月26日、140字小説本のクラウドファンディングが終了しました!
最終的に255万円を超えるご支援をいただくことができました。
また、190人という多くの方にご支援いただいたことを、大変うれしく、ありがたく思います。
本の完成までまだしばらくかかりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
11月にはもう1冊「紙屋ふじさき記念館 結のアルバム」も刊行されました!
大学4年になった百花。しかし、世界はコロナ禍中。大学はリモート授業、ゼミもサークル活動もままならない日々。
就活では、藤崎産業の入社面接を受けるが、こちらもオンライン。百花はいまのこの状況のなかで、紙の会社がすべきこととはなにか悩んでしまう。
夏休みは卒論に取り組むが、ひとりきりの作業でなかなか進まず、気分転換に始めた箱作りについつい夢中になって……。
人と人がリアルに会えない世界でも、絆はちゃんとつながっている。くじけずに歩む百花たちの日常を描きます。
カバーイラスト おかざきおか
カバーデザイン 西村弘美
刊行から少し時間が経ってしまいましたが、昨年11月にものだま探偵団シリーズの文庫版2巻が出ました!
2巻目には「ルークとふしぎな歌」「わたしが、もうひとり?」の2作が収録されてます。
ものに宿った魂=ものだまの声が聞こえる小学生・鳥羽と七子の活躍を描くシリーズ。
「ルークとふしぎな歌」は、七子の英語塾の生徒たちがみんなふしぎな歌を口ずさんでしまう……という事件。
鳥羽の幼馴染でライバルの律は成績優秀で、中学受験を目指して進学塾に通っている。鳥羽と同じようものだまの声が聞こえるのだが、ものだまとはあまり関わりたくない様子。でも、たったひとつ、ものだまの声が宿るチェスの駒・ルークだけは大事に持っていて……。
「わたしが、もうひとり?」は、そっくりさんをめぐる事件。
ある朝自分のそっくりさんを見かけた七子。律にドッペルゲンガーを見た人は1週間で死ぬと脅されておびえるが、やがて学校やそのまわりでそっくりさんを見かけた人が続出する。鳥羽と七子は「七ふしぎ新聞」の記者を装い、ドッペルゲンガーの調査に乗り出すが……。
児童書として刊行されたシリーズですが、謎解き要素もあり、大人の方でも楽しんでいただけるかと!
巻末には、映画監督/作家/脚本家/翻訳家/レビュアーの堺三保さんの解説が掲載されてます。
カバーイラスト くまおり純
カバーデザイン 木下容美子
1巻と並べるとこんな感じ。
よろしくお願いします!
10月27日(木)の「文字・活字文化の日」に、Motion Galleryにおいて、140字小説集『言葉の窓』のクラウドファンディングをスタートしました!
『言葉の窓』には、これまで書いてきた806編の140字小説のうち120編を選んで掲載。
すべて活字組版で機械抄きの和紙に印刷します。
下の写真は本文の試し刷りです。こちらを断裁し、製本していきます。
手漉き和紙の表紙の特装版(限定100部)と、洋紙を使った通常版の2種類。
表紙もいずれも活字組版で印刷します。
特装版の表紙に使うのは、山梨県身延町にある西島和紙工房が作成する、楮の繊維入りの穴のあいた手漉き和紙。
下の写真のハガキでは丸い穴ですが、これが窓の形になります。
連句を題材にした「言葉の園のお菓子番」シリーズ3巻目、「森に行く夢」が出ました。
今回は、一葉の勤めるブックカフェで少女マンガに関するイベントが!
小説家と詩人、ふたりの新キャラも登場します。
また、今回は歌仙(36句)を丸ごとおさめた話が入っているのですが、掲載された歌仙は連句仲間たちと実際に巻いたときのものを一部変更して使っています。
歌人の東直子さん、千葉聡さん、竹内亮さん、三辺律子さん、星々やほしのたねのメンバー、編集者さんふたりという豪華メンバーで巻いた歌仙。だれがどの句を作ったのかはヒミツですが、読めばほんのりわかるかも……?
連句の席のにぎわいが少しでも伝わればうれしいです。
気になるお菓子は……。
連句会2年目を迎え、お菓子番だった祖母の定番お菓子以外のお菓子も登場します。
ひとつ架空のお菓子もはいってます。
ドイツの森をイメージしたカバーイラストもとても素敵です。
よろしくお願いいたします!
カバーイラスト・青井秋
カバーデザイン・田中久子
『菓子屋横丁月光荘 金色姫』刊行されました!
シリーズ5巻目。
第1話「繭玉飾り」。「庭の宿・新井」で五穀豊穣を祈る伝統行事・繭玉飾りのイベントが開かれ、守人の友人・田辺の祖母で、守人と同じく家の声が聞こえる喜代も参加することに。
第2話「金色姫」では、思いがけない再会から祖母をめぐる大事な記憶がよみがえります。
第3話「丸窓」では、イベントスペース月光荘の本格オープンを目指す守人の姿が描かれます。
表紙に描かれている枝についた丸いものが繭玉飾り。
養蚕の歴史を中心に据え、不思議度高めな内容になってます。
執筆にあたり、川越の周辺地域をめぐり、桑畑、養蚕、機織りなどについて調べました。
近代日本を支えた巨大な生糸産業と、そこに携わった女性たち、そして糸を吐いて繭を作ってきた無数の蚕たち。
まぼろしのように消えてしまったそのころの生活に思いを馳せながら書きました。
装画・丹地陽子
装丁・五十嵐徹(芦澤泰偉事務所)
「ものだま探偵団」シリーズが文庫化されました!
1冊目『ものだま探偵団 ふしぎな声のする町で』には、「ふしぎな声のする町で」と「駅のふしぎな伝言板」の2話がおさめられています。
ものに宿った魂「ものだま」の声が聞こえる小学5年の女の子ふたりが、町で起こるふしぎな出来事を解決していく物語です。
ものだま探偵を名乗るふたりですが、できるのはものだまの声を聞くことだけ。
超能力でなんでもわかってなんでも解決できるわけではなく、ふしぎな現象を引き起こしているものだまを突き止め、原因を探り、ものだまを説得する、という流れはふつうのミステリーと同じ。
ちゃんと論理的に謎解きをしていきます。
はじめは児童書として刊行されたものですが、大人の方にも楽しんでいただける内容です。
巻末には、歌人の千葉聡さんの解説も掲載されています。
よろしくお願いいたします!
カバーイラスト くまおり純
カバーデザイン 木下容美子
「紙屋ふじさき記念館 春霞の小箱」が出ました!
このシリーズもついに5巻目。
記念館の閉館が迫るなか、百花は夏休みのサークル遠足で紙の産地・東秩父と小川町を訪れたり、正月の「楮(かず)かしき」に参加したり、和紙に関する知識を深めていきます。
川越の墨流し職人とのワークショップや三日月堂との活版冊子作りの企画が動きはじめ、閉館イベントの準備を始めるものの、予想外の事態に……。
川越の町や三日月堂もふたたび登場します。
表紙は川越の大正浪漫夢通りです!
カバーイラスト おかざきおか
カバーデザイン 西村弘美
新刊「ものだま探偵団5 ふしぎな声が町じゅうで」が出ました。
ものだま探偵団シリーズ史上、最大の事件発生!
ものだまの声が聞こえる坂木町の謎に迫るシリーズ最終巻!
ものに宿った魂=ものだまの声が聞こえる小学5年生の鳥羽と七子は、ものだまが引き起こすふしぎな事件を解決する「ものだま探偵」として活動している。
夏休み、学校の友だちやそのほかの人から「ものから声が聞こえた」という話を聞く。
これまでは限られた人にしか聞こえなかったのに、これはなにかの異変?
それとも、ものだまの性質が変わった?
突然ものだまの声が聞こえてパニックになったら、大きな事件が起こってしまうかもしれない…!
荒ぶったものだまが原因かもしれないと考えたふたりは調査を開始。
どうやら、七子の父が務める遺跡博物館があやしい…。
シリーズ開始は2013年ですから、シリーズ完結まで8年かかりました。
1巻は「ふしぎな声のする町で」。そして最終巻は「ふしぎな声が町じゅうで」。
わざとちょっと似たタイトルにしてみました。
高学年向けの児童書ですが、「ものの声が聞こえる」という設定はのちの「菓子屋横丁月光荘」につながるところもあり、使い続けてきたものと人の繋がりを描くシリーズなので、大人の方でも楽しめるかな、と思います。
七子たちも成長していますし、ものだまたちとの関係も少しずつ変化していきますので、シリーズ通して読んでいただけるとうれしいです!
絵はくまおり純さん。
児童書なので、表紙だけでなく、目次や本文中にもたくさん可愛い挿絵が入ってます!
よろしくお願いいたします!