作家。1964年東京都生まれ。1995年「影をめくるとき」が群像新人文学賞小説部門優秀作に。
小説「活版印刷三日月堂」シリーズ(ポプラ文庫)、「菓子屋横丁月光荘」シリーズ(ハルキ文庫)、「紙屋ふじさき記念館」シリーズ(角川文庫)、『言葉の園のお菓子番』シリーズ(だいわ文庫)、『金継ぎの家 あたたかなしずくたち』(幻冬舎文庫)、『三ノ池植物園標本室(上・下)』(ちくま文庫)、『東京のぼる坂くだる坂』(筑摩書房)、児童書「ものだま探偵団」シリーズ(徳間書店)など。
おしらせ
連句を題材にした「言葉の園のお菓子番」シリーズ3巻目、「森に行く夢」が出ました。
今回は、一葉の勤めるブックカフェで少女マンガに関するイベントが!
小説家と詩人、ふたりの新キャラも登場します。
また、今回は歌仙(36句)を丸ごとおさめた話が入っているのですが、掲載された歌仙は連句仲間たちと実際に巻いたときのものを一部変更して使っています。
歌人の東直子さん、千葉聡さん、竹内亮さん、三辺律子さん、星々やほしのたねのメンバー、編集者さんふたりという豪華メンバーで巻いた歌仙。だれがどの句を作ったのかはヒミツですが、読めばほんのりわかるかも……?
連句の席のにぎわいが少しでも伝わればうれしいです。
気になるお菓子は……。
連句会2年目を迎え、お菓子番だった祖母の定番お菓子以外のお菓子も登場します。
ひとつ架空のお菓子もはいってます。
ドイツの森をイメージしたカバーイラストもとても素敵です。
よろしくお願いいたします!
カバーイラスト・青井秋
カバーデザイン・田中久子
『菓子屋横丁月光荘 金色姫』刊行されました!
シリーズ5巻目。
第1話「繭玉飾り」。「庭の宿・新井」で五穀豊穣を祈る伝統行事・繭玉飾りのイベントが開かれ、守人の友人・田辺の祖母で、守人と同じく家の声が聞こえる喜代も参加することに。
第2話「金色姫」では、思いがけない再会から祖母をめぐる大事な記憶がよみがえります。
第3話「丸窓」では、イベントスペース月光荘の本格オープンを目指す守人の姿が描かれます。
表紙に描かれている枝についた丸いものが繭玉飾り。
養蚕の歴史を中心に据え、不思議度高めな内容になってます。
執筆にあたり、川越の周辺地域をめぐり、桑畑、養蚕、機織りなどについて調べました。
近代日本を支えた巨大な生糸産業と、そこに携わった女性たち、そして糸を吐いて繭を作ってきた無数の蚕たち。
まぼろしのように消えてしまったそのころの生活に思いを馳せながら書きました。
装画・丹地陽子
装丁・五十嵐徹(芦澤泰偉事務所)
「ものだま探偵団」シリーズが文庫化されました!
1冊目『ものだま探偵団 ふしぎな声のする町で』には、「ふしぎな声のする町で」と「駅のふしぎな伝言板」の2話がおさめられています。
ものに宿った魂「ものだま」の声が聞こえる小学5年の女の子ふたりが、町で起こるふしぎな出来事を解決していく物語です。
ものだま探偵を名乗るふたりですが、できるのはものだまの声を聞くことだけ。
超能力でなんでもわかってなんでも解決できるわけではなく、ふしぎな現象を引き起こしているものだまを突き止め、原因を探り、ものだまを説得する、という流れはふつうのミステリーと同じ。
ちゃんと論理的に謎解きをしていきます。
はじめは児童書として刊行されたものですが、大人の方にも楽しんでいただける内容です。
巻末には、歌人の千葉聡さんの解説も掲載されています。
よろしくお願いいたします!
カバーイラスト くまおり純
カバーデザイン 木下容美子
「紙屋ふじさき記念館 春霞の小箱」が出ました!
このシリーズもついに5巻目。
記念館の閉館が迫るなか、百花は夏休みのサークル遠足で紙の産地・東秩父と小川町を訪れたり、正月の「楮(かず)かしき」に参加したり、和紙に関する知識を深めていきます。
川越の墨流し職人とのワークショップや三日月堂との活版冊子作りの企画が動きはじめ、閉館イベントの準備を始めるものの、予想外の事態に……。
川越の町や三日月堂もふたたび登場します。
表紙は川越の大正浪漫夢通りです!
カバーイラスト おかざきおか
カバーデザイン 西村弘美
新刊「ものだま探偵団5 ふしぎな声が町じゅうで」が出ました。
ものだま探偵団シリーズ史上、最大の事件発生!
ものだまの声が聞こえる坂木町の謎に迫るシリーズ最終巻!
ものに宿った魂=ものだまの声が聞こえる小学5年生の鳥羽と七子は、ものだまが引き起こすふしぎな事件を解決する「ものだま探偵」として活動している。
夏休み、学校の友だちやそのほかの人から「ものから声が聞こえた」という話を聞く。
これまでは限られた人にしか聞こえなかったのに、これはなにかの異変?
それとも、ものだまの性質が変わった?
突然ものだまの声が聞こえてパニックになったら、大きな事件が起こってしまうかもしれない…!
荒ぶったものだまが原因かもしれないと考えたふたりは調査を開始。
どうやら、七子の父が務める遺跡博物館があやしい…。
シリーズ開始は2013年ですから、シリーズ完結まで8年かかりました。
1巻は「ふしぎな声のする町で」。そして最終巻は「ふしぎな声が町じゅうで」。
わざとちょっと似たタイトルにしてみました。
高学年向けの児童書ですが、「ものの声が聞こえる」という設定はのちの「菓子屋横丁月光荘」につながるところもあり、使い続けてきたものと人の繋がりを描くシリーズなので、大人の方でも楽しめるかな、と思います。
七子たちも成長していますし、ものだまたちとの関係も少しずつ変化していきますので、シリーズ通して読んでいただけるとうれしいです!
絵はくまおり純さん。
児童書なので、表紙だけでなく、目次や本文中にもたくさん可愛い挿絵が入ってます!
よろしくお願いいたします!
12月、光のうつくしさが際立つ季節になりました。
思い立って、140字小説のアドベントカレンダーを作ってみることにしました!
12月1日から毎日一編ずつ、過去の140字小説をお届けします。
なるべくあたたかみのあるものを選んでいくつもりです。
最後の方は新作になるかも……
よろしくお願いします!
「言葉の園のお菓子番」シリーズ2巻「孤独な月」、10月9日発売です!
連句の世界を描いたシリーズ、今回はまた登場人物が増えて、少しにぎやかになりました。
そして一葉にも新しい仕事が!
今回の見どころは最終話。
1巻〜2巻の連句に登場した句はほとんど(1巻の「探査ロボ」の句のみ知人の作です)わたし自身が作った句でした。
ほんとうはいつもいっしょに巻いている人たちの句を借りられたら、と思っていたのですが、物語の流れや季節、連句の説明の都合でなかなかうまくいかず……。
それで2巻の最終話の連句は、いつものメンバーで実際に巻いたものを使うことにしました。
メンバーにそれぞれ登場人物を演じてもらうような形で巻きました。
物語の都合などで一部変更したところもありますが、ほぼ巻いたときそのままの形で、半歌仙(歌仙の半分、18句の形式です)一巻が丸ごと載っています。
いろいろな人の感覚が混ざっているのが本来の連句。
そのおもしろさを味わっていただけるかな、と思います。
ご協力くださった「連なる楽しみ」の皆さん、ありがとうございました!
今回もイラスト青井秋さん、デザイン田中久子さんの素敵なカバーです。
扉には青井秋さんの和菓子のイラストも。しっとりした味わいで、こちらもとても素敵です。
今回、大和書房のnoteに新刊インタビューを掲載していただきました。
そちらも合わせて読んでいただけるとうれしいです!
「紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色」、本日発売です!
「紙屋ふじさき記念館」シリーズも4巻目となりました!
この巻で「活版印刷三日月堂」の世界とリンク、川越、三日月堂、弓子も登場します!
さらに、一成の両親も初登場。
百花の活動がウェブメディアに取り上げられたり、定期的なワークショップがはじまったり、
記念館の活動がますます活発になっていくなか、閉館の時期も確定し……。
どうぞよろしくお願いします!
カバーイラスト おかざきおか
カバーデザイン 西村弘美
新刊『菓子屋横丁月光荘 丸窓』発売です!
シリーズ4巻目。
大学院生の守人が川越の古民家・月光荘の住み込み管理人になって1年。
第1話「白い夢」では、大学時代のゼミの仲間たちと隣町の農園を訪ねた晩、友人・田辺の母の実家に泊まり、自分と同じく家の声が聞こえる喜代(田辺の祖母)と再会。家の声のこと、自分の曽祖父についてあらたな情報を得ます。
第2話「影絵とおはなし」では、三日月堂2巻に登場した朗読サークル「ちょうちょう」が月光荘で朗読会を開くことになり…。
三日月堂の「ちょうちょうの朗読会」での語り手・小穂とは別のメンバーが中心となり、少し雰囲気の違う物語が展開します。
第3話「丸窓」では、守人の住む建物「月光荘」がさらに活躍(?)します。
丹地陽子さんの素敵な装画、すべてを読み終わってから見直してみてくださいね!
装画・丹地陽子
装丁・五十嵐徹(芦澤泰偉事務所)
新刊『東京のぼる坂くだる坂』(筑摩書房)が出ました!
今回は単行本です。
語り手・蓉子は三十代の終わりで母とふたり暮らし。父は坂好き・引っ越し好きの変人で、蓉子が幼いころ家を出ていき、名前のついた坂を転々としていた。父の訃報から五年ほど経ち、仕事で偶然、幼いころ父とともに住んだ家の近くを通りかかったことをきっかけに、父が住んでいた坂をめぐることを思いつく。
幽霊坂、闇坂からはじまって、都内17の坂を実際に歩いて書きました。
はじめは東京の坂道めぐりをするお話を書きましょう、という企画だったのですが、坂を歩くうちになぜかいなくなった父の跡をたどる話になっていて……。
小説を書きはじめたころ『群像』という文芸誌に「崖に置かれて」と「北限のサワロ」というふたつの小説を書きました。どちらもいなくなった父をめぐる物語で、「崖に置かれて」には国分寺崖線が、「北限のサワロ」にはアリゾナのグランドキャニオンという大きな崖が出てくるので、わたしは「崖シリーズ」と呼んでいました。
その後しばらく崖シリーズから遠ざかっていたのですが、坂を歩くうちにまた崖と父の物語が復活してきたようです。
国分寺→アリゾナだったので、次は火星の崖でも書くか、と言っていたのですが、意外と近い東京の坂になりました。
どこにたどり着いたわけでもないのですが、これで崖シリーズ完結かな、と思っています。
「名前のついた坂」としたこともあり、歴史のある坂が集まりました。
もともとは「ちくま」で連載していたもので、連載をはじめるときは、東京オリンピックが開催される2020年に本を出せたらいいですね、人々が東京の景観に注目する時期ですし、という話でした。
ところが最後から2番目の坂をめぐったあたりで緊急事態宣言が出て、最後の坂の取材には行けず、本もいまは出せない、となってしまい、結局去年の夏、宣言が解除された時期に最後の坂の取材をおこなって、予定の一年後のいま刊行となりました。
そのような経緯もまた、起伏のある道を頼りなく歩くこの本にふさわしいような気がしています。
各章に九ポ堂・酒井葵さんによる坂周辺のお散歩マップがついています。
連載当時は葵さん、筑摩の担当編集氏とともに2ヶ月に1度都内の坂をめぐり歩いていました。
取材時は、暑い、寒い、雨が辛い、などなどいろいろあったのですが、いま思い出すとなんとも楽しく、忘れ難い日々でした。お付き合いいただいたことに感謝しています。
しらこさんの装画も、坂の上から見下ろすのと坂の下から見上げるのはどちらが良いか、編集さん、デザイナーさんとともにずいぶん悩んで見下ろす構図に決まりました。
表紙以外の部分にもあちらこちらにのぼったりくだったりが隠されていて、本の中に坂が詰まっているような楽しい装丁になってます。
カバー・表紙・扉イラストレーション しらこ
イラストマップ 九ポ堂
ブックデザイン アルビレオ